全身麻酔初体験

  全身麻酔初体験。人生で過去、2回入院して手術を受けたことがあるが、このたび全身麻酔下での手術を初めて経験した。硬膜外麻酔後に、「眠くなる薬を入れます」と聞いたのが最後。あっという間に眠ってしまったようで、「手術、終わりましたよ」の言葉で覚醒。一瞬、時間感覚がわからなくなった。
  実はこのたび、博多のおだクリニックで右外そけいヘルニアの手術を受けた。今春、右下腹部が腫れてきて、最初、何だろうと思っていたら、そけいヘルニアであった。その後、3、4ヶ月は何もなかったが、そのうち、時々歩けないほどの激しい痛みが出現するようになった。咳や排便の際には右下腹部を押さえておかないといけなくなった。加齢により破れたそけい部の筋膜から腸が脱出する病気である。やっと手術を受けることを決断した。日帰り手術であること、自分の仕事のスケジュールに合わせた日程が組めること、手術症例数が多く、その技術が高く評価され、院長が絶対的自信を持たれていること、そけいヘルニアに関する論文が日本臨床外科学会の平成27年度優秀論文賞を受賞されているといった理由から、博多のおだクリニックを選んだ。
  こじんまりした、街の歯医者さんくらいの待合室。数人程度しか座る場所はない。待合から歩けばすぐ手術室。11月6日日曜午後に初診と検査。翌日午前中の入院、手術であった。小田院長は午前中に6、7件の手術を行い、その合間に外来診療をされている。とにかく手術時間が短い。私の場合、18分であった。そけい部の筋膜に2個の穴があいており、手のひら程度の大きさの形状記憶型人工メッシュシートを穴のあいた筋膜の下に滑り込ませるクーゲル法と言われる術式である。再発と合併症が少ないらしい。創部は生体用瞬間接着剤を使うため、抜糸と消毒が不要である。術後4時間の絶対安静がしんどかったが、午後4時には歩いて退院でき、目の前のホテルに宿泊。近くで夕食をすませ、その後数時間は痛みでかなりきつかったが、手術の翌朝(今日11月8日)の再診時にはずいぶん楽になっていた。まだ通常どおり動けるにはほど遠いが、なんとかなるだろう。
  ドラマチックな日帰り手術外科の治療を身をもって体験した。本当にありがたかった。市内の病院ではなく、おだクリニックを選んで正解だった。

医療機能評価

約1ヶ月後に医療機能評価の更新を控えているが、昨日、病棟課長に聞いて初めて具体的な受審日を知った。今回初めて委員をはずれたが、委員でないとこんなものなのであろうか。医局員で知っている人がどのくらいいるのだろう。まあ、うちの病院は何もしなくても通るくらいのレベルにあるとは思うが。

動きの悪い電子カルテ

最近、電子カルテ(ベータソフト社のアルファ)の動きがずいぶん悪化している。記事作成のボタンが反応しなかったり、画面が真っ白で内容が出てこなかったり。更に、タイトル行の患者名とは異なる患者の記事が表示されたり。えっ、大丈夫なん?と思うことがある。先日は外来中に2度も再起動しないといけない羽目になり、診療が中断。全くやる気がなくなった。

昨夜は4時間かけての大がかりなメンテナンスが行われたようであり、どの程度反応が改善しているか期待しているのだが。

シクレスト

今年の5月26日に発売された、本邦9番目の非定型抗精神病薬であるシクレスト(一般名:アセナピン)。

これは使える抗精神病薬とのイメージを持った。

Aさん、数年前に発病したと思われるが治療歴なし。夜になると大声で怒鳴るため、しばしば警察が介入していた。深夜に警察により搬送され、ついに入院となった。シクレスト10mgを開始し数日後に20mg/日に増量。易刺激的で入院は不当だと訴え続けていたが、5~6週間経過すると、別人のように穏やかな方に変身した。著明改善。

Bさん、薬が嫌で自らの希望で持効性注射剤を使っていたが、それも拒否するようになり1年経過。予想通り悪化し救急車で搬送され入院となったが、入院時、思考が全くまとまらず、不可解なことを口にしたり、同じ言葉を繰り返したり、スムーズに応答できないなど、ほとんどまともな会話ができなかった。シクレスト10mgを開始し20mg/日まで増量。しだいに言動が整ってきた。途中、気分の高揚や夜間不眠が見られたが、シクレストを夕方1回にまとめたことにより、日中の眠気や夜間の不眠は改善。眠剤の服用も不要になった。著明改善。ジプレキサと違い、食欲の出過ぎや口渇が起きないと言う。

Cさん、ジプレキサ20mgがきちんと飲めなくなり、大雨による避難勧告がきっかけで不眠となり急激に悪化。「宇宙人とテレパシー交信している」「殺される前に死ぬ」と言い、強い希死念慮から自殺企図に至り、救急搬送され入院。シクレスト10mg/日で数日で劇的に改善。「舌がしびれるので効いている」「これはおもしろい薬だ」とコメントしている。

Dさん、リスパダール3mgで維持していたがこの2,3年、低空飛行。不安になりやすく、一人で外に出られなかった。悪化し再入院となった。糖尿病を合併している。入院後も直立不動で無反応だったり、自分自身を叩き続けたり、汗を流しながら壁を叩き続け全く疎通がとれない。リスパダール増量で様子を見ていたが、途中からシクレストに切り替えた。10mgで開始し20mg/日に増量した。2~3週ほどで言動がまとまり疎通良好となる。ずいぶん明るくなり、昔の本人に戻った感じ。著明改善。リスパダールと違い、眼球挙上が起きないのが良いと言う。

最初の数例でシクレストは使える薬との印象を強く持った。海外のメタ解析の結果などからは有効性があまり期待できないイメージがあったが、そんなことはない。統合失調症治療において十分戦力になると思われる。ジプレキサより副作用は少なそうである。これまで糖尿病を合併しているだけで治療の幅が狭くなっていたが、糖尿病禁忌でないので治療がしやすくなった。問題点として舌下投与であり飲み込むと効かないので、服用方法を患者さんが理解できる必要がある。ここで薬剤師の出番である。正しい服用方法を最初に十分指導してもらわないといけない。その結果、患者さんとスタッフの良好な関係性構築につながることが期待される。正しい服用法を身につけるには、入院中に開始することが望ましいと考える。また、複数の薬剤が処方されていると服薬が煩雑になる。逆に、不要な薬剤をできるだけカットする機会になればいいと思う。

ヤダじぃの精神科ひとりごと(臨時版)

ウィンドウズ10搭載のパソコンに換えたら、FTP転送プログラムが動かなくなり、「ヤダじぃの精神科ひとりごと(旧ヤダリンの精神科Q&A)」が更新できなくなってしまった。復旧するまでの間(永久に復旧しないかもしれないが)、臨時で新たにブログを立ち上げることにした。

ちょうど今、宮島水中花火大会が行われており、花火の音を聞きながら書いている。