おいしいデパス

抗不安薬であるデパスジェネリックはおいしいらしい。
先日、外来の患者さんに「デパスジェネリックになり、おいしく食べてます」と言われた。

どういうことだい。我々精神科医は依存性の高い抗不安薬の処方にとても神経質になっているのに。おいしい剤形にするとはけしからん。

リスパダール液のジェネリックが飲みやすいのはいいが。

統合失調症入院患者の治療開始時薬剤

今年(平成29年)1~3月に、統合失調症あるいは統合失調感情障害あるいは急性一過性精神病性障害で救急病棟に非自発的入院(措置入院、応急入院、医療保護入院)した患者のうち、抗精神病薬が処方された54名を対象に、どのような抗精神病薬で治療開始されたかを調べてみた。すると1位はインヴェガで22.2%であった。2位はジプレキサ(オランザピン)で20.4%であった。3位はアリピプラゾールで16.7%であった。リスパダール(リスペリドン)は6位であった。かつて急性期治療にファーストチョイスで処方されていたリスペリドンは治療開始時には使われなくなり、完全にインヴェガに置き換わっていることを示している。

初診日

初診日は非常に重要である。しかし、カルテの初診日が違っているものがあまりにも多い。ここが不正確だと、のちほど誤った診断書や証明書の作成に繋がってしまう。重大なことである。初診日は本人が受診した最初の日である。ご家族が相談に来られた日が初診日となったまま放置されているカルテも散見される。重要な初診日をなぜ誤ったまま放置しているのか。事務所は定期検査の指示入力をするより、初診日を正確に記述するようエネルギーを注ぐべきである。

持効性注射剤を積極的に使わない理由

1 利点を説明しても、「注射」と聞いただけで拒否的になる患者さんがほとんどである。患者さんが嫌がることをしたくない。もちろん、稀ではあるが、月1回の注射に関心を持ち希望される方もおられる。そのような患者さんには使用するし、安定した状態を維持することが可能である。

2 持効性注射剤を使用しても病状が悪化する場合はある。そうなった時の調整が非常に困難である。過去に注射剤を使ったばかりに、それまで開放病棟に任意入院3ヶ月くらいで落ち着いていた方が隔離室を使用せざるを得なくなった経験がある。

3 また、内服薬で比較的安定していたのに、その薬の持効性注射剤にすると悪化して隔離室に医療保護入院になった例がある。最終的に内服薬に戻して退院になった。

 

私は、60歳を超える患者さんには持効性注射剤は使わないし、中止するようにしている。高齢者は身体的合併症を生じやすくなる。1回打つとなかなか体内から去らないため、安全性を考えてのことである。

ベルソムラの説明

新世代の睡眠薬です。決して強い薬ではありません。安全性が高いお薬です。今話題になっているような他の睡眠薬に見られる依存性が非常に少ないお薬です。ご高齢の方が服用してもふらつきません。でも効く人と効かない人に別れてきます。他の睡眠薬が効かなくても、とてもよく効く人がいます。また、全く効かないという人もいます。しばらく続けて飲んでいるうちに効くようになる人もいます。やめやすいお薬です。でもベルソムラを販売している製薬会社の担当者は全く来ません。従って情報が得にくいのです。販売だけしてフォローのない製品を十分信頼することはできません。20mg錠を出していると65歳になった途端、薬局から電話がかかってくるのも不愉快です。

エイプリルフール

もうずいぶん前のことだが、ウイルス脳炎後の高次脳機能障害の患者さんで当時とても退院など考えられなかったのだが、主治医を他の先生に交替してしばらくして退院できた方がおられる。交替した主治医が転勤して、数年前から再び私が主治医となった。今月の1日、外来受診時に「調子が悪い」と言う。そして「今日は何の日かわかりますか」と続けた。「元気です。どんな嘘をつこうかと考えてました」と。ウィットをきかせた会話ができる彼女はずいぶん回復していると思った。