持効性注射剤を積極的に使わない理由

1 利点を説明しても、「注射」と聞いただけで拒否的になる患者さんがほとんどである。患者さんが嫌がることをしたくない。もちろん、稀ではあるが、月1回の注射に関心を持ち希望される方もおられる。そのような患者さんには使用するし、安定した状態を維持することが可能である。

2 持効性注射剤を使用しても病状が悪化する場合はある。そうなった時の調整が非常に困難である。過去に注射剤を使ったばかりに、それまで開放病棟に任意入院3ヶ月くらいで落ち着いていた方が隔離室を使用せざるを得なくなった経験がある。

3 また、内服薬で比較的安定していたのに、その薬の持効性注射剤にすると悪化して隔離室に医療保護入院になった例がある。最終的に内服薬に戻して退院になった。

 

私は、60歳を超える患者さんには持効性注射剤は使わないし、中止するようにしている。高齢者は身体的合併症を生じやすくなる。1回打つとなかなか体内から去らないため、安全性を考えてのことである。