オランザピン(ジプレキサ)の力

現在、70歳代の女性。彼女は昭和45年頃、統合失調症を発症し、過去10数回の入院歴がある。悪化時には迷惑行為が目立ち、入院時は往診か警察の介入が多かった人である。もう退院して10年以上経過する。安定度は非常に高い。「この年になり、こんなに平穏な日が訪れるとは思いもよりませんでした」と言う。高齢化による安定ということもあるかもしれないが、オランザピン(ジプレキサ)の力であるのは確実である。オランザピンは揺らぎに強く、再発させにくい抗精神病薬である。たとえ揺らいでも、軽い場合は自然修復も期待できる。少し大きな揺れならしばらくの間、増量すれば良い。増量による新たな問題はまず起きない。そのうち落ち着く。別の薬剤に置き換える必要はほとんどない。他の抗精神病薬には真似できない。