障害年金と精神障害者福祉手帳の等級

我々はただ診断書を作成するだけであるが、患者さんにとっては大きな関心事である。等級は審査医や審査会で決定される。患者さんが教えてくれない限り、結果は我々にもわからない。時に思わぬ結果が出ることがある。最近、就労する人が増えた。就労しているだけの理由で障害年金が停止になるわけではなさそうである。先日、社会機能がかなり回復している人がいて、「たぶん今回は停止になるだろう」と伝えていたのに継続になったケースがある。逆に、まず継続受給が可能だろうと予想していたのに、停止の通知がきたケースがある。わからない。同じ基準で判断されているとは思いにくい。全般的には数年前と比較し、この1年はやや判定が甘くなっている印象がある。地域差があるのかもしれない。
精神障害者福祉手帳に関しては、数年以上前と比較し、格段に判定が厳しくなっている。広島市の場合、1日2時間でもアルバイトをしているとの記載があれば、統合失調症の場合であっても確実に3級になる。ここ数年、手帳の等級が落ちたとの話が続出している。以前なら、年金が2級、手帳が1級ということはあったが、今は年金が2級でも手帳は3級という場合も多い。手帳の等級が落ちたので、年金ももらえなくなるのではないかとの不安を訴えて相談に来られる人がいる。不思議なことに広島県の場合はまた違うのである。ずっと正社員で働いているが、勤務上の問題点について記載すると3級から2級に変更になったケースがある。手帳制度ができた頃は広島市より広島県の判定が厳しかったが、今は逆転している。ここでも地域差があるようだ。
年金も手帳もいずれも書類審査である。生活のしづらさをいかに記載するかが重要である。